著作権相談コーナー


著作権ケーススタディ

 
具体的な事例から、著作権について学んでみましょう。 
本をブログで紹介する場合を例に、細かく質問を設定し、実際に上野与志さんに回答をいただきました。ぜひ参考にしてみてください。
 
<Q1:ブログ等で本を紹介するときは‥‥>
作家仲間の新刊をブログで紹介したいのですが、本の表紙だけでなく、中のページを撮影して掲載することはOKでしょうか?
 
<A1>
ブログに掲載することは、自由にだれもが閲覧可能となります(著作権法にいう公衆送信権)ので、基本的には著作権者の許諾が必要です。ですから、中面の掲載は要許諾となります。
なお、表紙だけを載せる場合なら、最近は表紙については著作物としてではなく、慣行として「商品」とみなされます(著作権法には規定されていません)ので、無許諾で掲載することが可能です。
 
 
もう少し詳しくうかがってみましょう。 
 
<Q> では、著者である作家仲間に許可をもらえばOK?
<A> 許諾(その画面に複数の著者がいる場合は全著者の)があれば、もちろんOKです。許諾を得る際に無料であることを断っておいた方がいいですね。許諾の際は、口頭よりは、許諾の事実が残るメールや文書の方がいいでしょう。
 
<Q> 絵本の場合、画家さんにも許可が必要?
<A> 絵の画面がある場合は、当然必要です。これが一番もめ事になるケースが多いので、注意しましょう。
 
<Q> 営利目的でない個人ブログで、無料で推薦する場合ならOKかと思ったのですが‥‥? 
<A> 非営利でも許諾は必要です。なお、営利の場合は、支払いが発生することになりますのでご注意ください(営利で無許諾使用すると明らかに犯罪です)。
 
<Q> ぼかしを入れるならOK?
<A> 見えなくなるまで、ぼかせばOKでしょうが、それでは掲載する意味がありませんね。堂々と許諾を取った方がいいのでは?
 
<Q> 読み聞かせをしている風景に写っている程度ならOK?
<A> 画面のアップでなければOKです。
 
<Q> では、仲間の本ではなく自分の著書の中のページを掲載するのはOK?
<A> そのページの、文も絵も自分で描いていればもちろんOKですが、絵を別の人が描いている場合は、当然画家の許諾が必要です。
 
 
視点を変えて、こんな質問をしてみました。
 
<Q2:知らない人のブログに自分の本の中身が‥‥>
まったく知らない方のブログに、自分の本の中のページが掲載されていました。良い本だと薦めてくれているのは嬉しいのですが、ストーリーのオチのページまで掲載されているのが気になります。どうするのがベターでしょうか。
 
<A2>
最近では、しょっちゅう見られるケースですね。すでに述べたとおり、当然許諾が必要ですが、無許諾で掲載されているものが多いようです。
著作物の掲載の諾否は、たとえブログでも、著作者が占有する権利ですので、自分で対応し、決定するしかありません。対応は、以下の2通りです。
 
1.「著作権法に則り、削除して欲しい」旨の申し入れをして、削除してもらう。
 (申し入れを受ければ、普通はすぐに削除すると思われます)
 
2. 無料で宣伝してくれていると思って、そのままにする。
 (マイナス宣伝の場合は、もちろん削除へ)
 
 
なるほど、自分で対応‥‥。念のため、こんな質問もしてみました。
 
<Q> 上野さんなら、どうなさいますか? 参考までにお聞かせください。
<A> 基本的にすべてOKとしています。全ページ読み聞かせなんていう、けっこうスゴいのもあったのですが、それなりに宣伝効果はあるように思って、「まあ、いいや」とした次第。
「ネタバレ」があっても、あまりマイナスには働かない、というのが最近の出版界の傾向ですので(だから、全ページ立ち読み※なんてサービスがあったりします)。
また、ブログとは少しちがいますが、著作物を紙芝居やパネルシアターなどに二次使用して、
お話会などに使いたいという許諾がよくきますが、そういう場合もすべてOKしています。
口コミが期待できるものは、プラスに働くように思っています。
※WEB上で絵本の全ページを1回だけ閲覧できるサービス等
 
ちなみに‥‥。
「質問の回答とズレるので、話が煩わしくなりますが」という前置きのあと、こんなお話もしてくださいました。
<+α> 引用に当たるケースは、無許諾で使用できます。引用とは、たとえば自ら書いた絵本批評、児童文学論、あるいはエッセイ(ある程度の長さのあるもの)などのなかで(こっちが主)、他人の著作物(こっちが従)の一部分(これ、大事です。全部じゃない)をそのまま(いじらずに)取り上げることです。また、引用した作品は、書名・作者名・出版社名の明示も必要です。他人の作品を掲載して、感想を述べる程度では、引用には当たりません。
ここでは詳しくは触れませんが、この引用についてだけでも1冊本が書けてしまうほど、著作権というのはややこしいのです。
 
 
上野さん、ご丁寧な回答をありがとうございました。 
 
 
すべての質問に、明快な回答をいただきました。質問は具体的なほうがいいこと、そしてなにより、著作権は奥が深いということが、おわかりいただけたかと思います。
著作権で気になること、悩んでいることがありましたら、どうぞ相談コーナーをご利用ください。当協会の会員であれば、どなたでも相談できます。心強いですね。